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ポール・ギルバートZEPPライブレポ公開!
2016.09.27

昨日行われたポール・ギルバートZEPP東京ライブレポートを公開いたします!

Li-sa-Xにも登場頂き、30周年記念にふさわしいスペシャルライブとなりました!



MR. BIGのポール・ギルバートが926日、Zepp東京でデビュー30周年記念ライヴ「”PG-30” PAUL GILBERT : DEBUT 30th ANNIVERSARY SPECIAL CONCERT」を実施した。一夜限りとなるスペシャルな来日公演で、この模様は会場すぐそばのZeppダイバーシティをはじめ、Zeppなんば大阪、Zepp名古屋、Zepp札幌に同時中継され、各地のファンがポールの超絶プレイを堪能した。


デビュー30周年記念ライヴの1曲目は、40分にわたる怒涛の、そして圧巻としかいようがないスペシャル・メドレーだった。1986年にレーサー Xのギタリストとして音楽キャリアがスタートしたポールの30年間を総括したもので、そのレーサー X時代、MR. BIGのヒット曲、ソロの代表曲からチョイスされた35曲がインストゥルメンタル・ヴァージョンで披露されたわけだが、淀みなく、そしてミスもせず、ノンストップでラストまで展開していったのだからこのメドレー、練りに練られたアレンジであったし、ベースのケヴィン・チャウン、ドラムのトーマス・ラングとの息もぴったりの完璧ともいえる演奏であった。


そしてこのメドレーはそれ自体がスペシャルなものであったのだが、さらなるスペシャルが盛り込まれていた。メドレーの25曲目となる「ゲット・アウト・オブ・マイ・ヤード」で、大人顔負けの速弾きをキメまくる天才小学生ギタリストとして知られるLi-sa-Xがステージに現れ、ヒューマン・カポの役割を務めたのである。このカポとは、ギターのネックに挟み込み、開放弦の音の高さを変えるためのものなのだが、「ゲット・アウト・オブ・マイ・ヤード」は目まぐるしくキーが変わるため、特定の箇所だけに固定する器具のカポでなく、移動可能なカポ、すなわち人力が必要となる楽曲。そこでZepp東京にやって来たのがLi-sa-Xというわけで、彼女は、楽曲が持つスピード感にまったく遅れることなく、カポがわりとなる自身の人差し指の移動を繰り返し、ポールのプレイを見事なまでにサポートした。もちろん、場内は大喝采。それに応えてLi-sa-Xも高々と右手を挙げ、役目を終えるとステージ上手に去っていった。


そう、スペシャルな企画ではあったけれど、Li-sa-Xのていねいな紹介はなかったのだ。メドレーの最中であったことから、プレイの流れを優先させたからである。しかし、これが今回のポールのデビュー30周年記念ライブの特徴であったともいえる。言葉や演出に頼ることはせず、ポールはあくまでも演奏で自身の30年間のキャリアを表現した。メドレーのあとも、チューニングの最中や水を飲むときに少し言葉を発する程度で、バンドは演奏することに徹していた。


序盤のメドレーのあとは、トニー・スピナーとフレディ・ネルソンというふたりのギタリストが加わり、5人編成となった。普通は3台ものギターが当時に鳴り響くと、かなりの大音量となるのだが、まったくそうならなかった。また、ギタリストとしての技量は3人とも相当なものだが、テクニックを全面に押し出すことよりも、楽曲を活かすプレイにみんな専念していた。たしかにポールの速弾きはどの曲でもあちこちに飛び出すのだがが、それだけが浮かび上がることは決してなかった。ポールの速弾きは独立したものでなく、きちんと楽曲の一部として組み込まれたワザだからである。


いちばん新しい自分をアピールしていたこともすばらしかった。昨年末に発表した最新アルバム『ブッこわれるぜ』には13曲が収録されているが、そこから7曲が披露されたのだ。アニヴァーサリーをフックとしたライヴはどうしたって代表曲中心のセットリストになりがちだが、ポールはそれを序盤のメドレーに集約させ、そのあとは『ブッこわれるぜ』、すなわち最新モードの自分をたしかな演奏と歌でストレートにアピールしたのだ。とくに、広く知られたハードロック、ヘヴィーメタルのポールとはひと違う「ブルースに救われて」におけるブルースの表現は、この人の懐の深さを知るには十分なパフォーマンスだった。


だから、約2時間半のライヴが終了してもっとも強く感じたのは、速弾きギタリストとしてのポールでなく、現役として新しいなにかを探究するミュージシャン、アーティストとしてのポールだった。これまで以上にていねいだった演奏は、自身のソウルをより繊細に表現しようとしたからこそ生まれたものであると考えられるし、PAバランスも申し分なかった。ロック・バンドというより、小編成のオーケストラのライヴを楽しんでいたのかと思うほど、非常に美しいアンサンブルとして鳴り響いていた。デビュー30周年という大きな節目に、単にキャリアを総括するのでなく、まだまだ転がり続けるのだという強い意志がすべての音に乗っていたからこその美しさのように思えた。そのことがなによりも感動的だった。


ライター 島田

撮影   吉浜 弘之












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